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俳優に定年はないと言われるが、コロナのせいで心が沈む人を元気にしたいと、84歳の今も文化庁に採択された芸術文化継続支援事業の朗読の会のけいこに励んでいる。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」「永訣の朝」「鹿踊りのはじまり」などだ。

私が俳優を志した原点は中学時代に当時の松江公会堂で観た映画「ハムレット」である。ハムレットを演じたイギリスの名優、ローレンス・オリビエに圧倒され、感動のあまり映画が終わっても席を立つことができなかった。そんな憧れから進んだ俳優の道だったが、覚悟していた以上に厳しい世界だった。養成所のころ、特に苦労したのは訛りである。

「劇団四季」では、浅利慶太先生に引き立てていただき、役をつけてもらった分、発声を基本からやり直さなければならなかった。荒川の土提(どて)に立って声を絞り出した。胸につかえて出なかった声が、いつしか顔面に共鳴し出るようになった。

それにしても故郷の松江はありがたい。私が出演した作品には本当に多数の人が観に来てくださった。「劇団四季」時代の「なよたけ(加藤道夫作)」には千人くらいの人が来てくださったのではないか。

また現在、男性の団員としては私が最年長である「劇団仲間」でも、「森は生きている(マルシャーク作)」(公演回数2,100回)の舞台で何度も松江を訪れ、島根県民会館にはいつも多数の人が来てくださっている。観客の皆さんがあっての俳優業である。

まだまだ松江の皆さんに舞台でお会いできるかもしれない、と意欲を持ちながら、研鑽(けんさん)を積んでいきたいと思う。


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井原 幹雄
井原 幹雄 古江小(~小3)、島根大学附属小、附属中、松江高校卒。日本大学芸術学部演劇学科中退。東宝現代劇、劇団四季を経て昭和57年から劇団仲間所属。
松江の皆さんこんにちは。
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