| 市報松江2月号目次 |
市報松江 2011.2
松江の歴史・松江の未来 歴史の中に 私たちの未来を見つけます〜『秘書』の発見〜

 「けん」・「 こん」二冊のこの冊子は昭和初年からほぼ半世紀、行方の分からぬ史料でした。
 藩財政悪化に苦しんでいた不昧公の父六代藩主宗衍むねのぶが、一両のお金を望み、小姓が江戸市中を金策しても、出羽様御滅亡のうわさが広まっていて誰一人として一両はもとより一朱も貸す者がなく、落涙されたとの話が伝わっています。これは旧版『松江市誌』に載っていて松江藩の財政難を表現するためによく引用されていますが、その出典は何か分かりませんでした。ところがこの冊子(秘書)にそのことが書いてあり、一両のお金も、宗衍が祈祷料にするためだったと記してありました。
 この冊子(秘書)は松江藩家老の朝日丹波恒重つねしげが「御立派改革」を行った父朝日丹波郷保さとやすから伝え聞いたことに、自分の見聞きした記憶を加えて改革に至った経緯、改革の実際について、自分や父の政治理念などを記述したもので、改革前後の逸話や当時のひっ迫状況がリアルに描かれています。
 現在、島根県立図書館に所蔵されています。県立図書館へは、三十年前ころ東京在住の方が他の古文書類とともに寄贈されました。文書目録を作るとき、虫損が激しく開くこともできませんでしたが、高度な技術処理を行い、解読できました。半世紀の間、古文書の束のなかに埋まってじっとしていた事実が世に出たのです。どのような経緯で東京へ行ったのか分かりませんが、後一歩で失われそうになった貴重な史料です。『秘書』の書名は丹波恒重がけたものです。平成23年に発行予定の『松江市史』史料編「近世T」に収録されます。

発見された「雲陽国益鑑」

| 市報松江2月号目次 |