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市報松江 2011.2
神国の首都 Vol.15

 季節は早くも如月きさらぎに入り、4日は立春、暦の上では春を迎えますが、本格的な寒さはむしろこれからが本番。「春は名のみの 風の寒さよ」。早春賦の歌詞よろしく、寒風が身にしみる日がしばらく続きますので、風邪にはくれぐれもご注意を。
 さて、松江っ子にとって、寒の楽しみは何と言っても宍道湖の「お魚くん」たち。フナの刺身に味噌汁、シラウオのかき揚げ、これにアマサギ(ワカサギ)のつけ焼きでもあれば、もうたまりません。目尻は下がり、酒を持つ左手は上がりっぱなし。これぞ至福の時、口の果報、寒さも吹っ飛ぼうというものです。
 この冬、フナくんとシラウオくんは口にできたのですが、残念ながら宍道湖産のアマサギくんにはとんとお目にかかれません。魚屋で見かける大半は琵琶湖産で、これがちょいと大きめ。宍道湖産のスマートな姿を見慣れているだけに、大柄なおじさん風の魚体がどうしてもなじめないのです。
 あのすらっとして美しい光沢のあるアマサギくんにはもうお目にかかれないのでしょうか。
 宍道湖漁協に問い合わせたところ、何と今冬は4匹しか獲れていないとのこと(1月11日現在)。昨年夏まではちょこちょこと目撃情報が寄せられたものの、あの猛暑以降の目撃情報はほとんどありませんでした。「夏は宍道湖の水温が30度を超え、まるでお湯のようでしたからねえ」と漁協関係者。アマサギは宍道湖が国内生息地の南限、暑さに弱い魚なので受けたダメージは想像以上に大きかったようです。
 かつて年間600トン近い漁獲量があり、庶民の味の代表格だったアマサギ。ところが、1994年の猛暑以降は減る一方で、2001年に1トンを割ってしまい、昨冬は34匹、そして今冬はひとケタ台に。
 このままでは幻の魚どころか、姿を消してしまい、一度は環境省のレッドリストで絶滅種に指定された秋田県・田沢湖のクニマスと同じ運命をたどりかねません。
 宍道湖七珍からアマサギの名が消える。それだけは何としても防がなくてはなりません。ここに至ったのも温暖化の影響との意見が多く、その原因を作ったのは人間なのですから。

(瑛)
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