| 市報松江10月号目次 |
市報松江 2012.10
美味しいものみつけた! タウンレポーター佐伯 潮美さん(美保関) 食欲の秋到来!近郊の町で作られている なつかしい・素朴な味、ヘルシーで美味な味 二品を紹介します。

☆島根町野波のやたら(やたー)漬け☆
 ナス、シソ、ウリなどの夏野菜が豊富な8月ごろ、島根町野波地区では多くの家で“やたら漬け”が仕込まれます。材料は小麦こうじ、しょうゆ、砂糖、 みりん、酒またはビール、塩漬けをして十分に水分を切ったナス、シソなどの野菜。 家によっては、ウリ、芋づる、ニンジン、また昆布、アラメなどの海草も入ります。
 仕込んでから1ヵ月弱で芳香が漂い、何ともいえない美味な菜みそが出来上がります。 この香りを嗅ぐと脳の味覚神経が刺激され、思わず 「ゴクッ!」 となります。胃疲れで食欲がない時、 焼き魚やキュウリ、ご飯などに乗っけて食す幸せ‥‥‥は、年を重ねてからより感じるようになりました。
 金山寺味噌など同類の市販品もありますが、 なぜか 「野波のみそは美味しいが‥‥‥何か違う‥‥‥」 とよく聞きます。 その言葉を聞くと、ふるさとの伝統の食文化を受け継ぎ作ってくれる人たちに感謝したくなります。

☆美保関の型菓子☆
 いったんは途絶えていましたが、平成15年に復活し、 今も木挽さんという地元の主婦の手により、伝統が受け継がれている素朴な米粉のお菓子です。
 この型菓子を口にした時、初めてなのに 「なつかしい味!」 と感じ、何かうれしくなりました。
 原材料は、米 (米の粉) と砂糖、水のみ。洗って干した米をきつね色に って、いて、こねて、伝来の木型に詰めて形作り、小さな火で焙炉 (ほいろ) して出来上がります。
 昭和の時代には助炭 (じょたん) という道具で仕上げたということですが、現在はそれも難しく、オーブンで。 また、季節・気候により水の分量やこね具合を調節することが大事、とのことでした。
 いろいろ尋ねてみると、「はっきりとしたことは分からないが、北前船の関連文化と聞いているので、 おそらく江戸末期から作られていたのではないか?」 「昭和の初めには、15、6軒の家が木型を持って作っていた」 「昭和30年の初めごろには、作る人が木挽さんのおしゅうとさんだけになった」 など興味深い話が聞けました。
 歴史ある美保関伝来の型菓子。この素朴な味がいつまでも受け継がれていって欲しいと願います。