鹿島町の農業は、水稲、畜産、野菜が中心となっています。
 鹿島においても他の地域と同様に、306haの耕作地は就農者の高齢化、農地の遊休化等にさらされてきました。現状を打開するため、地域内で連携した農業振興活動が求められています。
 今回は畜産業を振興させ、さらに林業・水産業分野の振興にまで波及させようと努力している「鹿島町和牛改良組合」について紹介します。
 

 鹿島町の牛は最盛期の昭和六十年以降減少し続けてきました。これに歯止めをかけて経営を安定させるため、平成八年「鹿島町和牛改良組合」は発足しました。
 放牧の先進地である隠岐への視察研修によって、放牧することで飼料代低減や労力の軽減が図れること、さらに牛の健康維持、繁殖力向上ができることを学び、放牧に適した土地探しが始まりました。
 一方、鹿島町御津地区の海岸部は森林が松食い虫の被害によって広い範囲で荒廃し、60haの荒廃地を所有する漁協では対策に悩まされていました。
 放牧地確保に苦労していた和牛改良組合は荒廃した漁協所有地を放牧によってきれいにし、森林を再生しようと持ちかけました。しかし漁協からは当初、糞尿処理への不安から同意が得られませんでした。
 その後粘り強い交渉が鹿島町、JAくにびき等の仲介によって行われ、やっと平成十三年から2haの森林に妊娠牛四頭での試験放牧がスタートしました。
 

植樹祭の様子
 牛の採食によって高く生い茂っていた雑草はなくなり、山はきれいになっていきました。牛糞の分解が予想以上に早く、心配されていた悪臭・ハエの発生はありませんでした。
 平成十五年からは牛に雑草を食べさせながら不用木等を伐採し、ヤマザクラやシバグリ、ケヤキ、マツの苗木を植樹し森林を再生しています。植樹によって土壌流出が防止され、ミネラル分を多く含んだ水が海に注ぐことで魚を養い、漁業資源の回復にも結びつきます。
 まだ漁業への好影響は目に見えてはいませんが、漁協の期待は大きく、漁協が所有する山林の貸出面積は現在20ha、放牧牛も三十頭に増えています。
 

 現在成功している放牧ですが、飼料の野草は再生力が低く、将来は餌不足が予想されます。この解決のため暖地型牧草品種を栽培し、その中で鹿島町に適した品種を模索中です。
 組合は安全・安心な牛肉の提供だけでなく、子供達に豊かな自然を残したいという思いを持っています。将来、放牧地の中に公園を作り、子供達に栗拾い・花見等の体験学習を行ったり、牛とふれあう憩いの場所にする計画です。期待を込めて行われた植樹祭では地元の小学生も多く参加しました。
 様々な形での地域振興に向け、組合の夢は膨らみ続けています。