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市報松江 2009.12
いいとこみつけた

 八束町(大根島)波入地区に全隆寺というお寺がある。境内に珍しい実がなっていると聞き、先日行ってみた。住職の奥さんから、それが辛夷こぶしの実であることを聞いた。秋の日差しの中で、真っ赤に色づいた総なりの実が緑の葉に映え、それはそれは見事であった。
 全隆寺は月山富田城の出城跡に建てられたお寺である。尼子の武将、小川右衛門は全隆寺の地にとりでを構え、周りに堀をめぐらし石垣を築きここを最後の拠点として立てこもったという。今も残る堀跡や高い石垣が昔をしのばせている。
 大根島に牡丹ぼたんが植えられたのは、およそ300年前だといわれている。全隆寺の住職が遠州三河(静岡県袋井)可睡斎かすいさいから孟宗竹もうそうちくとともに持ち帰り、秋、至福のひと時
レポーター 渡部房子 同寺の境内と同尼寺、円通観音堂(円通庵)に植えたのが、大根島牡丹の起源といわれている。後年、画聖「池ノ大雅」が円通観音堂の牡丹を描いており、今なお樹齢200年以上の牡丹の古木が町内にあるところからもその起源はかなり古いものと思われる。島内の家々の庭先に「地牡丹」が植えられ、古くから島の人が牡丹の花を楽しんでいたことがうかがえる。今や牡丹は八束町の基幹作目であり、通年の開花技術も開発され、国内はもとよりフライト産業として輸出され脚光を浴びている。4月下旬から5月上旬にかけて花径20から30センチの大輪の花が色鮮やかに咲き競うさまはまさに「花の王」にふさわしく「島根県の花」としてまた「松江の花」として多くの人々に愛されている。
 全隆寺にあって常緑樹の深い緑を背にした広々とした庭に「寂」を感じながら、金子卓雄大和尚のお話に耳を傾け、至福のひと時を過ごした。
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全隆寺
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真っ赤に色づいた辛夷の実
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