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市報松江 2011.11
報告 失敗に終わった改革第一弾

 『報国』は、第六代藩主松平 宗衍むねのぶが延享4(1747)年から宝暦2(1752)年にかけて「御直捌おじきさばき」と呼ばれる親政( 延享えんきょうの改革)を行った際に、ただ一人の補佐役として重要な役割を果たした 小田切備中おだぎりびっちゅうの著作です。「延享の改革」の時期の最大の政治課題は、窮乏する藩財政の建て直しでした。
 『報国』には、「泉府方せんぶがた」(藩営金融)や、「木実方きのみがたはぜろう の生産奨励・専売)の設置など、藩財政立て直しのために、小田切備中の行ったさまざまな試みが四十カ条にわたって列挙されていて、「延享の改革」の政策基調や具体的施策を知る上で極めて貴重な史料となっています。
 しかしながら、彼の主導した諸政策は必ずしも成功しませんでした。『報国』は、松江藩の儒学者うさみしんすい の評言を含んでいる点を特徴としますが、農本主義の立場に立つしんすいは、商人の経済力を利用しようとした小田切備中の政策を手厳しく批判。当時さまざまな立場があったことを示しています。
 松江藩は、このような経験を経たのち、第七代藩主松平治郷はるさと(不昧)のもとで、朝日丹波郷保さとやすの主導する「御立派の改革」に立ち向かっていくことになります。
 (このたび『報国』の全文(漢文)とその読み下しが初めて活字化され、松江市史史料編「近世T」に掲載されます)

発見された「雲陽国益鑑」
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