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市報松江 2013.1
コラム 神国の首都

 明けましておめでとうございます。「光陰矢のごとし」。 時の流れの早さを実感します。
 今年は、十二支でいえば 「年」。多くの方が苦手とするヘビなのですが、 「巳」 は体ができかけた胎児の姿を表しており、そこから植物の種子ができ始める時期、 草木が成長して極限に達し、次の命をつくり始める時期と解釈されています。ステップアップの年ととらえて、 あくまで前向きに歩みたいものです。
 女優の草村礼子さんをご存じでしょうか。映画 「Shall weダンス?」 でダンス教室のたまこ先生役を演じた方といえばお分かりでしょう。 松江市八雲町にあるNPO 「あしぶえ」 主宰の園山土筆さんと草村さんは同じ“師匠”に演出、演技を学んだ仲とか。 その縁で、 何度か来松された折に聞いたエピソードを紹介します。
 いかにもはまり役のたまこ先生ですが、監督の指名ではなくオーディションに参加して自らの手でつかみ取った役といいます。 その際、 監督の 「ダンス教室の先生役ですが、 ダンスはできますか?」 との質問に、 間髪を入れず自信たっぷりの表情で 「はい、 できます」 と答えたそうです。 実は若いときにダンパ (ダンスパーティ) に行くためにちょっとかじった程度だったとかで、 「まずは役をいただくこと。 ダンスは役をいただいてからみっちり練習すればいい」。 さすがは女優、 監督でさえ演技にまんまとだまされたわけです。 猛練習を重ねたことでしょう。 映画ではほかの俳優を完全にくってしまい、 キネマ旬報ベストテン助演女優賞、 毎日映画コンクール助演女優賞など7つの賞を総ざらいします。その時、54歳。遅咲きの花が見事に開いた瞬間でした。 「巳」 に例えれば、 一気に成長の極限に達したということでしょうか。
 ダンスの先生役を機に、草村さんは人生のステップアップを目指します。打ち込むうちに魅力にはまった社交ダンスによる社会貢献活動で、 名づけて 「ダンスボランティア・夢のダンス」。 病気や高齢のために車イス生活を送っている人々の元を訪問し、 ダンスを楽しんでもらおうというものです。 誰もが口ずさむことができる曲をダンス仕様にして、ボランティアが優しく手をとって、 リズムに合わせてゆっくりと体をスイングさせるうちに体も心も活性化する効果があるといいます。 実際に、 車イスに乗っていた101歳の方が立ち上がる楽しさを思い出し、歩き始めたそうです。
 草村さんの座右の銘は 「あったかく生きる」。 72歳にして背筋が伸び、 凛りんとしながら懐深く、 笑顔を絶やさず、 常に前向き。 「巳年」 に目標としたい人物です。

(瑛)
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