| 市報松江3月号目次 |
市報松江 2013.3
コラム 神国の首都

 水槽の中で何層にも重なり合ってうごめく松葉ガニ。 隣の店の水槽には親ガニ (雌ガニ)、小さな水槽では大きな胸ビレのホウボウにカサゴ、海水をはった発泡スチロールには何と甘エビが泳いでいるではありませんか。アジ、ハタハタ、イワシなど庶民の味は山盛りで「500円」の値札。生きのよさと種類の多さ、安さを競い合う鮮魚店員の売り声もにぎやかとなれば、財布のひもは緩もうというものです。いや、見ているだけでも結構楽しいのですよ、これが…。
 どこの光景と思われます?鳥取市賀露の「かろいち」。松江から車を走らせれば、鳥取市の入り口・賀露漁港近くにある海鮮市場のことなのです。海鮮市場に隣接して鳥取県産の野菜や果物、農産加工品、肉などがそろった地場産プラザ「わったいな」があり、すし店やいけす料理店などの飲食店も張り付き、さらに西側にはカニが主役の小さな水族館「かにっこ館」。家族で出かけ、大人が買い物をしている間、子どもは水族館でカニと戯れ、昼食はそろって日本海の幸に舌鼓を打つことができるという“一石三鳥”の場所なのです。ちなみに「わったいな」とは、鳥取県東部の方言で「おお、すごい」 という意味。確かに驚くほどの新鮮さと安さで、駐車場はいつも満杯状態。県外ナンバーの車が引きも切らないのも、 食の魅力がなせる業なのでしょう。
 もう1ヵ所、山口県下関市にある唐戸市場。フグの市場として全国的に知られる、この市場はほかにも二つの「顔」を持っています。一つは地方卸売市場としては全国でも珍しい直接販売を行っていること。つまり、業者だけではなく一般の人も買い物ができ、ノドグロやウニ、フグなどの高級食材がそれこそ「わったいな」と驚く、手ごろな値段で手に入るのです。もう一つの顔は、昼前になると市場内の魚屋さんがおすし屋さんに変身するのです。お店の魚をネタにした握りがずらりと並び、それを目当てにした観光客で土日の市場はごった返します。船が行き交う関門海峡を眼前に、お気に入りの握りとフグ汁を味わう。至福の時間を過ごした後、近くにあるフグが主役の水族館 「海響館」へと足を運べば満足度100%請け合いです。
 松江は絵に描いたような美しいまちです。しかし、何かが物足りない。それが何かは人それぞれでしょうが、鳥取と下関のケースは参考に値すると思うのです。まして海に湖、山野の幸に恵まれた松江の地の利を生かさない手はありません。安くて新鮮な食材を調達した後、美しい宍道湖の風景を眺めながらシジミ汁をすすり、アワビやサワラ、ブリの握りにカキフライ、島根和牛などを食する。想像しただけでワクワクします。世にあまたいる、食いしん坊、おいしん坊のため、松江のため、一日も早い実現を願うばかりです。

(瑛)
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