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市報松江 2017.7
写真提供:小泉家 「21世紀の小泉八雲」を松江から世界へ!
今も息づく八雲の精神
小泉八雲記念館リニューアルオープン1周年 小泉八雲のイラスト

 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン/1850‐1904)は、54年の生涯の中で何を見、何を聞き、そして何がその心に響いたのでしょうか。小泉八雲の開かれた精神(オープン・マインド)の航跡をたどって、昨年の夏、小泉八雲記念館は新しく生まれ変わりました。
 第1展示室では、八雲の遺品とともに、その生涯を編年で紹介し、第2展示室では八雲の思考の中身を「再話」「日本のこころ」「日本のくらし」「いのち」「クレオール」「ジャーナリズム」「教育」「八雲から広がる世界」など8つの切り口から描き出しています。洗練されたグラフィックを通して、八雲の多面性とオープン・マインドなまなざしに出あっていただきたいと願っています。
 かつて、八雲は日本や世界の将来についてこう語りました。
*「自然は偉大なる経済家で決して間違いをしない」
*「日本にとって一番大切なことは、自然との共生とシンプルライフを維持することだ」
*「日本の教育で気がかりなのは、記憶力偏重で想像力が育まれないことだ」
*「自然や災害が頻発する風土が、変化を受け入れる日本人の国民性を形成している」
*「日本人は、カエルや虫なども芸術の対象とする、もっとも幸福で健全な審美観を持っている」
*「怪談には一面の真理がある。だから将来においてもその真理に対する人々の関心は変わらない」
と。
 イサム・ノグチの父で世界的な詩人、野口米次郎は八雲を「予言者」と呼びました。それは、八雲が西洋中心主義・人間中心主義の偏見にとらわれることなくオープン・マインドで明治日本の本質にせまっていたことを意味していると思います。

 没後百年余りを経て、世界的に小泉八雲への再評価が高まりつつあります。小泉八雲を「文学」という枠から解き放ち、新しい意味づけを与えて発信する試みが見られるようになったのです。
 松江では半世紀の伝統を持つ「ヘルンをたたえる青少年スピーチコンテスト」や、子どもたちの五感力を育む「子ども塾―スーパーヘルンさん講座」をはじめ、「小泉八雲」から受け継ぐべき精神を、文化の創造やツーリズムに活かす活動が継続的に実施されています。2008年からは、松江の怪談を地域資源として活かした「松江ゴーストツアー」(NPO法人松江ツーリズム研究会主催)、2006年から10年以上続く「小泉八雲・朗読の夕べ」(P3に特集記事)、2014年から始まった「松江怪談談義」や「松江怪喜宴」(すべて市主催)など、あげればきりがないほどです。
 2010年には全国の小泉八雲の関連団体と展示施設が松江で一堂に会し「小泉八雲の会&ミュージアムの未来を考えるサミット」を開催し、未来に向けてのネットワーク構築を目指しました。同時に「オープン・マインド・オブ・ラフカディオ・ハーン」というタイトルで、ハーンの精神性をアートで表現するという今までにない試みが松江城天守閣で開催されました。(市主催)また、近年、tsunami=i津波)の恐ろしさを世界へ知らせた八雲の作品「生き神」が再評価され、世界各地で子どもたちの防災教育に活用されています。
 ハーンの生誕地ギリシャのレフカダでは、2014年にヨーロッパ初のハーン・ミュージアムが誕生。2015年にはアイルランドのトラモアに八雲の人生を9つの庭であらわした「小泉八雲庭園」が地元住民の手によりオープンし、新しい地域資源となっています。
 小泉八雲をテーマとした一連の活動は、人々の共生と持続可能な社会をめざす現代の潮流の中で、作家や文学を地域の文化資源、観光資源として、どのように社会に活かせるかを模索する新しい動きです。小泉八雲は時空を超えて、生き続けています。

小泉八雲記念館 館長 小泉 凡
佐野史郎
Shiro Sano
小泉八雲の「八」にちなんで、これまで8本の「朗読のしらべ」を奏で、八雲の故郷、ギリシャとアイルランドでの公演用に2本の作品を編んできました。
10年を越えたこのステージの再スタートとして、今年は第1作目を構成し直し、「夢幻」と題してお届けします。
国宝、千鳥城の城内に建つ興雲閣にて、あらたな雲がわきたつように、生まれ変わり続ける小泉八雲の作品をお楽しみください。 山本恭司
Kyouji Yamamoto
佐野史郎の言葉は歌となり、僕の音楽と融合する。
僕のギターは言葉となり、サノの朗読と融合する。
ヘルンさんの愛した日本の情景や古くから語り継がれてきた怪談話。僕らはそれを誰も見たことのないやり方で未来に伝えていく役目をいただいたと思っています。 小泉 凡
Bon Koizumi
松江と小泉八雲を心から愛する、俳優とギタリストは盟友。佐野史郎と山本恭司が伝える古くて新しい八雲の世界には、八雲が「真理」(truth)と呼ぶ、現代に必要なメッセージが込められています。こんな素敵な舞台への、導入と橋渡し役ができることを、いつも誇りに思っています。
小泉八雲 朗読のしらべ
唯一無二の、スーパー朗読ライブ
 俳優の佐野史郎さんとギタリストの山本恭司さんは、ともに松江出身で松江南高校のクラスメート。この二人による「朗読」と「音楽」の公演は、毎年松江市で開催され今年で11年目になります。小泉八雲のひ孫小泉凡さんの監修のもとで、非常に完成度が高くユニークな朗読パフォーマンスが出来上がっていきました。最近では、海外公演や国内公演も多数行うようになりましたが、まるで松江を拠点とした朗読一座のようでもあります。
この朗読公演は、「小泉八雲 朗読の夕べ」として2006年に始まりました。佐野さんが毎回テーマを決め、八雲作品の中から怪談や紀行文、アンソロジーなど数作を選んでバランスよく構成し脚本に仕上げます。音楽を担当する山本さんが描き出す音の世界は、人の息遣いや喜怒哀楽、物の怪の世界まで見事に表現されていて、佐野さんの語りとともに聴衆の想像力を掻き立て、えも言われぬ独特な世界が客席を包み込んでいきます。

写真(c)Lafcadio Hearn Reading Performance
「小泉八雲をよむ」感想文・詩の募集
 小泉八雲の功績をたたえ、八雲の作品の読書をすすめ、豊かな心を育てるとともに、国際社会への理解を深めることを目的として、昭和61年から感想文の募集をはじめました。小学生・中学生・高校生・一般の4部門にわけて募集を行い、今年で32回目を迎えます。
 平成28年度は、全国各地から、感想文81篇、詩44篇の応募があり、表現に優れ、強い感銘を与えた作品を、優秀賞、優良賞、佳作に選び、リニューアルした小泉八雲記念館にて表彰式を行いました。
写真提供:小泉八雲記念館
問い合わせ 観光文化課 TEL55-5517
八雲に関連するイベント
ヘルンをたたえる青少年スピーチコンテスト
 昭和41年から始まり今年で51回目となる、歴史あるコンテストです。
 全国から小・中学生、高校生が集まり、小泉八雲の作品を英語で暗唱します(28年度は48校・76人が参加)。
 出場者は、暗唱を通じて、美しい英文に込められた八雲の思いをくみ取り、その作品世界を深く理解します。観覧されると、その英語の表現力の豊かさに驚かされることでしょう。
 八雲の美しい英文に触れることにより、英語表現力や国際性を高めることを目的として開催しています。
写真提供:八雲会
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